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ep26 雨

작가: 根上真気
last update 게시일: 2026-03-13 17:34:22

  【7】

コハクがこの世界に転生してから一週間、すなわちクロー・グレイシャより婚約を申し込まれてから六日が過ぎた日の午後だった。

「生まれ変わってから初めての雨だな......」

コハクは部屋でひとり、何となくしんみりしていた。朝から続く雨と肌寒い気温のせいかもしれない。そこへある報せが届いた。

「えっ??」

その話をアンから聞いた時、コハクは動揺を隠せなかった。

「今、ナイジェルが領主邸へ確認しに行っています。これから私も参りますが......」

アンがじっと見つめてくる。表情から感情を読み取ろうとしているようだ。コハクは一瞬どうしようか迷うが、迷うも何も選択肢はひとつしかなかった。

「ぼ、ボクも行く!」

「では、一緒に参りましょう」アンはあっさり承諾した。

コハクはすぐに着替えると、アンとともに足早に屋敷を後にした。

領主邸に着くと、使用人から応接室へ通される。部屋に入ると、領主のバーバラと息子のナイジェル、そして若き公爵クロー・グレイシャがテーブルを挟んで向かい合っていた。

「なんだ、アン」領主が口をひらく。「コハクお嬢さまをお連れしてきたのですか」

「当然です。当事者ですか
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  • 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様   ep71 え?

    「はぁー、はぁー」廊下の端までいき、コハクは立ち止まって壁に手をついた。正直、自分の行動に自分が驚かされていた。何も逃げなくてもいいのに。ボク、何をやっているんだ?「どうしよう。絶対ヘンに思われたよね。それどころか嫌われたかも。フツーに失礼だし。強引なナンパでもないのに。しかも相手はクラスメイトなのに......。クラリナも、どう思っただろ......」冷静になってくると、ますます不可解になってくる。そもそも相手に下心があるかどうかもわからない。ナンバだとも限らないんだ。純粋にクラスメイトと親睦を深めたいだけなのかもしれないんだ。ウブな乙女にもほどがあるぞ。「でも、前世で、ハヤテのナンパを散々見てきたからなぁ」それゆえに過剰反応したのだろうか。ましてや自分の場合、男から女に転生している。男側の心理もわかる分、より男に対する警戒心が強いのかもしれない。「クローは平気なのに......」そう。クローは、最初から平気だった。出会い方も関係しているだろうけど、それだけでは語れないものがある気がする。「あれ?」ここでふと、コハクはあることに気づく。そういえば、ルーのことも平気だったと。告白された時はさすがに戸惑ったけど、それでもエリオットに対して抱いたような警戒心はない。

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      【3】一日の授業が終わり、コハクとクラリナが会話を交わそうと目を合わせた時だった。二人の視線は同時に別の方向へ移った。「インフェスさん」数名の男子学生がコハクに近づいてきていた。皆、好意的な笑みを浮かべている。「こんにちは」その中のひとりの男子学生がコハクへ挨拶する。中々の男前に見える。「こんにちは」と返しながらコハクは思い出したように立ち上がった。そういえばクラリナ以外の学生とはまだ話したことがない。「初めまして、コハク・インフェスさん。僕はエリオット・エルガーです」エリオットは好意的な微笑みを見せる。茶色い髪の毛をオシャレに整えた彼は、いかにも女にモテそうな容貌を備えたイケメンだった。コハクは一瞬、前世での親友を思い出した。「初めまして」とコハクも挨拶を返すと、二人の会話が始まる。すると、またたく間にコハクは相手のペースに飲まれていった。「マギアヘルム出身と聞いて最初はどんな女性かと思ったけど、話してみると実に親しみやすくて可愛らしい素敵な人だなぁ」

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    誤解はすぐに解けた。さすがにクラリナも半信半疑だったようで、授業間の短い休憩時間、最低限の説明で充分だった。ただ、今回のことでひとつ問題が浮き彫りになってしまった。「でもまさか、コハクちゃんとグレーアム先生が同じ屋敷に住んでいるなんて」クラリナは素直に驚いた。そうだよね、とコハクも思った。思いながら、クローと一緒に登下校するのはマズイかも......と気づく。事情を知らない者から見れば、良からぬ想像が働くのも無理はない。ましてや学生たちは色恋沙汰に敏感な年頃だ。むしろなぜ今頃になって気づいたのか、遅きに失したと言わざるをえない。コハク自身はもちろんのこと、クローやフランツやメアリーからも言及がなかったのが不思議なぐらいだ。「と、とにかく、ボクとクロ......グレーアム先生は何でもないから」言いながら、コハクは何だか哀しくなってきた。確かに愛人関係ではない。しかしまったく男女の関係ではないと言えば嘘になる。婚約関係。それはすなわち将来の夫婦関係だ。肉体関係こそないものの、友人以上の関係であることは間違いないはずだ。「コハクちゃん?」クラリナが隣から顔を覗き込んできた。「あっ、な、なんでもないよ」あわててコハクは笑顔を作った。できたばかりの新しい友人の目の前で落ち込んでいる場合じゃない。「気にしないで」そもそも身分を隠して入学しているのだから仕方がない。言えない

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    コハクは一瞬「?」となる。それからすぐにハッとする。失敗した。距離感を間違えた。そう気づいた途端、今度は焦ってくる。せっかく仲良くなれそうなクラリナに、このままでは嫌われてしまう。「ご、ごめん。ボクたちまだそこまでの関係じゃないもんね。ボクばっか先走っちゃったね。アハハ......」コハクは精一杯に笑顔を作って返した。どうにかして気まずくならないようにしたい。「あっ」クラリナが何か重大なことに気づいたように、態度を一変させる。「ご、ごめんなさい! わたし、なんて失礼な物言いを」「全然そんなことないよ!」コハクはさらに焦り出した。「あの言い方では、まるで私がコハクちゃんのお誘いを嫌がってるみたいに聞こえて当然ですよね......」「じ、じゃあ、そういう意味ではないってこと?」コハクがおずおずと尋ねると、クラリナは必死に何度も首を振った。「も、もちろんです!」コハクはほっと安堵する。危うく華のキャンパスライフに早くも影を落としてしまうところだった。何事もなさそうで良かった。いや待て。コハクは思う。本当に何事もないのなら、先ほどのクラリナのあの反応は何なんだ? 何もないのにあの反応は逆に不自然だ。

  • 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様   ep67 友達

      【2】「また帰りに」車を降りるなり、クローは一足先に校舎へと向かっていった。クローの意向により今日から表向きフランツとメアリーの同行をなくしたため、コハクはひとり手を振って見送る。それから軽く溜息をついた。「帰り、か......」やはりクローは、一日の授業が終わってからでないと関わるつもりはないらしい。仕方がないと言えば仕方がない。とはいえ休憩時間に一言二言交わすこともできないのだろうか。「でも、行き帰り一緒なだけでも感謝しないといけないんだよね」本来、教師であれば事前の準備のために、学生とは「入りの時間」が異なるはずだろう。帰りの時間も然りだ。だが、クローはコハクに合わせてくれている。それを可能にするために大学側へ事前交渉も行っていたらしい。「大事には、してくれているのかな」前向きな見解に傾き、心は落ち着くかに見えた。しかしそんなに甘くない。数学知識をもっても解けない、きっとピタゴラスでも解くことのできない、あの三角問題があるのだから。「公爵家の兄弟二人から大事にされて、ボクは幸せだよね......」決してやましいことがあるわけでもないのに、

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    ベッドに仰向けになったコハクは、先ほどから穴が開くほど天井を見つめ続けている。魔法学校初日で疲れているはずなのに、就寝時間になっても一向に眠る気にならない。「なんなんだ今のボクの状況は......」ルーに告白されたことは、クローは当然のこと、他の誰にも話していない。当事者同士が秘密を貫けば、これから先も誰かに知られることはない。「お互い黙っている限りは、表向きは何も問題はないんだけど......」額に手の甲を乗せ、屋敷に帰って来てからのことを改めて思い返す。ルーの部屋から出た後、クローとフランツから心配そうにルーの様子を尋ねられた。どう答えたものかとコハクは悩んだ。とりあえず「思ったより大丈夫みたい」と当たり障りなく誤魔化しておいた。しかし案の定、クローもフランツも納得してくれなかった。「でも、そのあとルーがフツーに夕食の席に着いてくれたんだよね......」正直これには驚かされた。まるであのことはなかったかの如く、ルーは極めて普段通りの振る舞いで夕食を共にしたのだ。兄のクローに対してはおろか、コハクに対しても普段通り極まりない態度だった。コハクとしてはもはや驚きを通り越して呆然どころか拍子抜けしてしまうほどだった。 「気まずくならなくて良かったけど......」と半ば安堵しつつも、コハクはカッと目を見開く。「ルーがわからない!」

  • 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様   ep14 暴炎

    「い、いやだ......」コハクは声を震わせる。「コハクお嬢さま?」「二人とも、ボクにやさしくしてくれた。アンさんは、ボクをやさしく抱きしめてくれた......」「コハクお嬢さま......」「ボクにやさしくしてくれた人を......ボクはまた失いたくない!」転瞬、領主を守ろうと立ち塞がるナイジェルとアンに向かい、ワイバーンの炎が無情にも発射された。使用人は目を瞑って手を握り合わせた。だが、すぐにハッとしてまぶたを開く。「こ、コハクお嬢さま!?」なんとコハクが、窓から空へ向かって矢のような勢いで猛烈に飛び立っていったのだ。向かう先は彼らのもと。「えっ!?」精一杯の防

  • 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様   ep12 異常事態

      【4】翌朝。熟睡していたコハクの目を覚まさせたのは、表で鳴り響く警鈴の激しい音だった。眠気まなこのコハクは、まぶたを擦りながら気怠そうに上体を起こす。「コハクお嬢さま!」使用人の女が部屋に駆け込んできた。彼女の尋常じゃない雰囲気に、コハクは悟る。大きな事故か災害が発生したに違いない。「何かあったんですか?」「私と一緒にすぐに下まで降りてきてください!」寝間着のままでコハクは一階まで駆け降りていった。居間には屋敷中のほぼ全員が集まっていた。ナイジェルとアンの姿だけが見えない。「いったい何があったんですか?」コハクが再び尋ねると、使用人の顔に戦慄が浮かび上がる。「赤黒いワイバ

  • 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様   ep10 もう戻ることのできない(1)

    湯浴みから戻ると、宴ではマトモな食事もできなかっただろうとコハクは食事を振る舞われた。ナイジェルが使用人に用意させていたのだ。「すごく美味しいです」コハクは異世界の食事に舌鼓を打った。ナイジェルとアンと三人で囲む食卓は、中々落ち着くことのできなかったコハクの心を和ませた。右も左もわからないこの世界に降り立ち、どこの誰ともわからない女の子に生まれ変わり、戸惑うばかりの一日。しかしナイジェルとアンの心遣いによって、コハクは心の平穏さを取り戻してきていた。(ふたりがいてくれて、本当に助かったなぁ......)夕食を済ませ、用意された部屋に入るなりコハクはばふんとベッドに倒れ込んだ。大変な一日

  • 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様   ep9 お風呂

    「コハクお嬢さま、大丈夫ですか?」アンが顔を覗き込んでくる。「だ、大丈夫です」と返答しつつも、コハクは体を背けていた。湯に浸かっているとはいえ、見るのも見られるのも恥ずかしかった。「申し訳ありません。まるで私が無理にお誘いしてしまったみたいで......」「えっ、いや、そんな、全然、ただ、ちょっと恥ずかしいというだけで......」コハクはあわあわとなる。アンに気を遣わせてしまい申し訳なくなる。それでも恥ずかしさはどうしようもない。「コハクお嬢さまは、その......」アンが目を細める。「とっても女の子らしい女の子なんですね」「へ??」コハクは顔を赤くする。ボクが女の子らしい女の

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